指導案を書いてみよう!【指導案の書き方(概要編)】

忙しい人のためのポイント

  1. 指導案には決まった書き方はないけど、ぜんぜんどう書けばいいかわからない人のために、ぼくなりの書き方を公開するよ。
  2. 指導案にはざっくり言って細案(単元全体の指導案)と略案(本時の授業展開案)があるよ。
  3. とりあえず略案が書けるようになろう!

あくまでここに書くのは〈ぼくなりのやり方〉

指導案には、「こう書くべき!」という統一された形式もないし、作法もありません(ぼくはそう認識しています)

したがって、ここで説明する書き方が唯一の正解ではないということは注記しておきたいのです。

でもこうしてぼくなりの書き方を公にしておくのは、ある程度の指針があった方がみんな助かるだろうし、ぼくの書き方を踏まえて書くことで、まあ70点くらいの指導案が書けるようになるんじゃないかなーと思うからです。

あとは、場面場面に応じて、自分なりに調整してもらうことがだいじかなーと思います。あくまで一例であり、また、目安でしかないことは押さえておいてほしい。

指導案は何よりも読んでもらうものなので、論文みたいに型にはまってるほうが、読み手に優しいのです。

統一的な記法を自分の中にちゃんと持っておくと、他の人が自分の指導案を読むときにも、自分が指導案を書くときにも、負担が少なくて済みます。

したがって、参考程度に思っておいていただければいいと同時に、この記事をベースにして、自分なりにわかりやすい形を模索していってほしいとも思います。

この記事が学生さんとか、新任の人とかの役に立つのなら、それはとてもうれしいなあ、と思います。

そもそも指導案ってなに?

この記事での指導案とは、正式には学習指導案のことです。

学習指導案とは、

授業者が、どのような授業を行うのかを、単元全体の授業計画を踏まえて、言語化したもの

です。

どんな授業をするのかを、授業を見る人が事前にイメージできるように作成します。

ポイントは、学習指導案は、作成した人のために書くものではなく、読む人のために書かれるということです。

ぼくはどうやって書けるようになったか

教員採用試験とかでも指導案は書かされるのだけど、指導案の書き方それ自体は、暗黙知みたいになっています。

ぼくは教員養成系の大学を出ていないので、大学生の時に指導案なんてロクに書いたことはありませんでした。教育実習の時に何枚か書いた記憶はあるけど、体系的な指導を受けた記憶はありません。

とはいえ、実際に教員になってみると、わりと指導案を書かないといけない機会というのもあって、必要感に迫られて、いろいろ調べながら試行錯誤して書いてきました。

つまり、ぼくは書き方をけっこう独学したのです。先行実践の指導案を他教科を含めてかなり読んで、どういう指導案が読みやすいのかを研究しました。

指導案の書き方、みたいな本も、何十冊か読みました。もちろん良い本もあったし、あまりいい本ではないなあと思うような本もありました。

でも結局、指導案作成に一番役に立ったのは、自分で書きまくったことです。

年間4〜6枚くらいは研究授業のために指導案を書きました。これはたぶん、高校では異様な量だと思います。いろんな同業者に聞いたけど、1枚も書かないってこともあるらしい。

で、書きまくっていたら、書くのも全然苦じゃなくなってきて、むしろ楽しいぜーみたいな謎の状況になり、他教科の指導案を書くのを手伝ってあげたり、総合的な学習の時間の指導案を書いたりしてきたのです。

指導案の書き方はみんなあんまりよくわからない

そんなわけで、後輩の指導とか、学生の指導とかで、指導案の書き方を教えるのだけど、あまりにも書き方が雑で、これまでちゃんと指導されていないのだというのがありありとわかって残念な気持ちになることが多いのです。

というわけで書き方をググってみるけどあんまり出てこない。困る

学生さんとか、新任の先生とかが、「やべえ指導案書かないといけない」と思ったら、まずはググると思います。

でもググってもいまいちピンとこないのが現状なんですよねえ。

というのは、そもそも指導案の書き方は統一されていないので、別にどんなふうに書いてもいい(という認識)。

実際、最近出た本にも、次のように書かれています。

指導案は各大学や学校、教育センターなどによって異なりますが、共通する点もあります。(p.21)

ここでは「共通する点もあります」とふわっとされています。確かにそれぞれの学校や団体が作成している様式には、共通するポイントがあるにはあります。

大抵、「本時の目標」とか、「学習活動」だとか、「指導上の留意事項」とか、そういった項目が入っています。これは共通しているというか、ないと困る項目です。

しかし、「ここの部分は、具体的にはこういう風に書きましょう」とか「このように書くべきです」とか言うほどには、「共通する点」はありません(少しはあります。それを今後書きます)。

だから、「指導案とはこういう風に書くのだ!」みたいな作法もありません。作法がないから、指針も打ち出しにくくて、結果的にどう書けばいいのかはふわっとしたままであることが多いのが、ググってもあんまりピンとこない理由だと思うんですね。

ざっくり言ってしまうと、指導案はどんなのでもいいのです。
つまり、

読んだ人が、その授業がどんな目標をもっていて、そのためにどんな学習が行われるかがわかるなら、形式はどうでもいい(はず)。

でもそれはそれで困るのですよね。学生さんとか新任の先生とかは、どう書けばいいかわからないし教えてもらってもないし、むしろどう書けばいいかが決まっているのかすら知らない状態で書かされることになるのだから。

そんな訳で、とりあえず典型的な指導案の形式を見てみましょう。

とりあえず指導案のサンプルを見てみよう!

http://www.kochinet.ed.jp/susaki-l/99_blank002.htmlより

http://www.apec.aichi-c.ed.jp/shoko/kyouka/math-tebiki/an_rei.htmより

細かな形式も違うのですが、指導案と簡単に言われるものには、実は2種類あります

指導案にはざっくり2つある

指導案には、大きく分けて

細案(単元の全体案)   ※上の画像のもの

略案(本時案)   ※下の画像のもの

の2種類があります。

厳密にいうと、2つの部分に分けられると言った方がいいかもしれません。

いわゆる指導案と呼ばれるものは、細案を指すことが多く、これは単元全体の指導をどのようにするかを記述します。

それに対して略案は、例えば研究授業であるなら、その日のその授業の計画がどのようなものかを記述します。

つまり、次の図のような関係です。

この2つがあって、略案から細案へとステップアップしていく、という考えを持つことが大事です。

最初から全部(細案まで完璧に)しようとしないことがだいじです。

とりあえずできるようになるべきことは

最終的には細案が書けるようにならないといけないし、むしろ単元全体のなかでのその授業の位置づけを明確にできないといけないと思うけど、とりあえずはその授業の計画、つまり略案が書けるようになるというのが最初のステップではないかと思います

  1. とりあえず略案が書ければいい。
  2. ざっくりした細案が書けるようになる。
  3. 最終的にかっちりした指導案が書ければサイコー。
みたいなハードルの設定の仕方がよろしいのではないかと思います。

指導案ばっかりにあわあわしていても仕方がないので、最終的なカッチリ細案が書けるのは2年後とかでもいいから、とりあえずしっかり略案が書けるようになるのがだいじ。

そんなわけで、次回から、略案の書き方→細案の書き方、といった流れで説明します。

実際には単元構想をするときには、もちろん細案から略案へという思考の流れになるはずですけど、それは理想論ということで。ひとまず必要最低限のことをおさえていければいいのではないかと。

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