「スパイダー討論」という話し合いを、授業でやってみました。
結論から言うと、とても面白くて、そして力になると感じました。
ポイントは、ルーブリックと振り返り!
スパイダー討論って?
スパイダー討論は、次の本の中で紹介されている話し合い活動です。
実践事例もあって、例えば、
また、日本の実践としては、
また、次のサイトも参考になります。
参考 Spider Web Discussion™ 参考 新刊案内『最高の授業』PLC便り 参考 新刊案内『最高の授業』WW/RW便り 参考 【実践報告】スパイダー討論の授業!課題と可能性〜ルーブリックの作り方と探究への誘い〜やっちゃえ先生ブログポイントをぼくなりにまとめると、
- 適正人数は、1グループ13~18人ぐらい
- 生徒を円形に座らせて、討論させる。
- 討論の前に、ルーブリックを提示する。
- 教師はほとんどの場合静かにしている。
- 教師は、生徒の発言をもとに、メモをしていく。
- グループで評価する。(個人の評価は前面化させない)
といった特徴をもつ話し合い活動である。
ルーブリックって?
ルーブリックというのは、評価基準表のことだ。
どんな話し合いが良い話し合いなのか、というのを、教員がいくつかの項目に整理する。
スパイダー討論では、このルーブリックを、生徒に提示しておく。
ぼくの場合は、『最高の授業』に書かれた3つのルーブリックの例と、日本のかえつ有明中学校で使用されているルーブリックを参考にして、次のようなルーブリックを作成した。
- 全員が、ほとんど平等に、意味のあるかたちで参加した。
- 話し合いは活発に、ほどよいペース(早すぎず、退屈しないスピード)で進んだ。
- 1度に話す人は1人で、1つの話題について喋った。
- 新しい話題に移る前に、疑問点や難しいことを解決できるように努力した。
- 誰かの意見が無視されることはなかった。
- 声が大きくてだらだらと話す生徒だけが喋るのではなく、恥ずかしがり屋やおとなしい生徒も発言しやすい雰囲気や声かけができた。
- 互いの意見を注意して、敬意をもって聞いた。
たとえば、誰かほかの人が話しているときは、遮って話をしたり、空想したり、紙で音を立てたり、しかめっ面をしたり、寝たり、関係ない話をしたり、ケータイやノートパソコンを使ったりしない。このようなことをしたら、話し手を軽視したり、全体での話を台無しにしたりすることになる。 - 話している人の意見を理解しようと努力した。よく聞こえなかったり、理解できなかったりする発言は、繰り返し言ってもらうようにした。
- 互いにチャレンジし、意味を深め、新しい発見ができた。
- 話し合いの間を通じて、自分の発言を裏付けるための事例を使ったり、本文の引用をしたりできた。
これらはむしろ評価基準というよりも、どんな観点で評価するかという評価規準だと思うけれど、これらのうちのどの程度が実際に達成できたかで、グループの評価が行われる。
メモっていうのは?
教員は話し合いが始まったら、絶対に介入しない。
ぼくがやったクラスでは、とりあえず20分話し合いの時間をとった。
もちろん、その間、ぼくは話し合いにまったく介入しなかった。(多分ここが一番難しい!)
では、教員は何をしているのかというと、
のようなメモをとっているのである。
このメモの取り方は、ざっくり言うと、
- 大きな円をノートに書いて、各生徒の名前を座っている場所のところに書き込む
- 話し合いを始めた生徒の名前を〇で囲む
- 二番目の生徒が話し始めると、最初の生徒から二番目の生徒まで線を引き、三番目の生徒が話すまでそのままにしておく
- それ以後、順番に線を描き続ける
- 生徒たちの名前の脇には、注目したい特定の行動を記号で記入していく
というもの。
結果的に、蜘蛛の巣のようなメモができあがるのです。
実際にスパイダー討論をやってみて
結論から言うと素晴らしかった!
とはいえ、すべてが成功したわけではない。
例えば、生徒たちは話し合いの最中、ずっと与えられたテーマについて話し合っていたわけではなかった。
なんども脱線し、ぜんぜん関係ない話を始めることが何度もあった。
でもぼくはその間じっと我慢して、メモに徹していた。
実践の肝はルーブリックと振り返り
ぼくは本に書かれたことをできるだけ忠実に行おうと思っていたので、振り返りの時間を15分程度とっていた。
これがすごくだいじなことだった。
話し合いが終わって、生徒に感想を求めた。
すると、彼らの口から、ぼくが望ましくないと感じていた行動についての反省が出てきたのである。
また、ルーブリックの項目について、一つ一つ確認していった。
「これはできた? できなかった?」というふうに、一つ一つ全員の意見を求めた。
するとおおむねぼくの評価と同じような評価になっていったのである。
最後に、グループの評価は? と問うと、
「Dじゃないかな?」(Dは下から2番目)
と全員一致で決まった。
「どうすれば評価は上がると思う?」という問いかけにも、
- 席の位置を変える
- みんながテーマについての疑問点を1つは考えておく
- 人の話していることをもっと聞く
などの反応があった。
授業者の感想としては
正直言って、生徒たちに任せて大丈夫だろうか、と前日から不安だった。
しかし、振り返りを終えた時、ぼくは生徒たちの力をまだまだ見くびっていたなあ、と思った。
そんで、またやりたい!と強く思った。
生徒たちにとっても、これは継続的にやっていく価値があると強く感じた。
話し合い自体にはほとんど手応えがなかったけど、振り返りを含めて、終わってみれば教育的な効果がすごいあったと感じて、ものすごく不思議な感覚に陥った。
難しいのは
難しいのは、問いとなるテーマである。
あるいは題材となるテキスト(映像含む)だ。
こればっかりは、生徒がいい反応をしてくれるような、魅力的な教材を自分の努力で見つけるしかない。
でも、居ても立っても居られず、すぐさま教材探しをはじめてしまう程度には、スパイダー討論は魅力的な学習活動でした。
コメントを残す